視聴率の低さは、他のイベントやスポーツ大会との競合などの要因もあるかもしれませんし、興味を持っている人がまだ少なかったのかもしれません。将来的には、サッカー天皇杯がもっと多くの人々に愛されることを期待しています。
NHK総合 23/12/09(土)14:55-155 個人2.6 世帯5.0
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2023年にネットで最も流行った単語を決定する「ネット流行語100 2023」表彰式が、2023年12月13日に開催。年間大賞は『【推しの子】』、総合第2位と「ニコニコ賞」は「君は完璧で究極のゲッター」に決定した。
【大きい画像を見る】「ネット流行語100 2023」
「ネット流行語100」は、「ニコニコ大百科」「ピクシブ百科事典」の各単語ページにおけるアクセス数の昨年比の差分にもとづき、その年にネットで最も流行った100単語をノミネートし、ランキング形式で発表を行うアワード。
株式会社ドワンゴとピクシブ株式会社が2018年より開始し、今年で6回目を数える。
「ネット流行語100」2023年間大賞は、『かぐや様は告らせたい』の赤坂アカと『クズの本懐』の横槍メンゴがタッグで「週刊ヤングジャンプ」にて連載しているマンガ『【推しの子】』だ。
2023年4月にアニメが放送開始となり、第1話放送時にはX(旧:Twitter)の世界トレンド1位を獲得。
YOASOBIが歌う主題歌「アイドル」の“歌ってみた”動画や、TikTokアニメ公式アカウントの振付動画から“踊ってみた”動画などが数多く投稿され、二次創作でもネットを巻き込み大きな盛り上がりをみせた。
第2位および、ニコニコユーザーによるアンケートで選ばれる「ニコニコ賞」には、『【推しの子】』から派生したネットミーム「君は完璧で究極のゲッター」がランクイン。
『【推しの子】』の主題歌「アイドル」のサビ部分「究極のアイドル」と、2000年に発売したOVA『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』の主題歌「STORM」のサビ部分「飛び出せゲッター」のメロディが似ていることが話題に。
歌詞を組み合わせたワードとしてSNSでトレンド入りするなど、『【推しの子】』が2023年のネット界に広く影響を与えたことが証明される結果となっている。
第3位は、『スーパー戦隊』シリーズ第47作品目『王様戦隊キングオージャー』。
“昆虫”と“王様”がモチーフとなっており、それぞれが一国の王として君臨する5人が互いに協力して敵の脅威に立ち向かっていくファンタジー色の強い物語である。
シリーズ初の“紫色”の初期メンバー戦士が登場するほか、CGをふんだんに活用した映像制作など、王道スタイルでありながら随所に新機軸を取り入れ、注目を集めた。
昨年よりもpixivへの投稿数が増えたタグ(単語)が対象となる「pixiv賞」には、原作:金城宗幸・漫画:ノ村優介のコンビが講談社「週刊少年マガジン」にて連載中のサッカーマンガ『ブルーロック』が選出。
作中の神がかり的な技をまねた動画がSNSで話題になったほか、2022年10月からのTVアニメ放送とサッカーW杯の開催が重なったことでも盛り上がりをみせた。
総合6位および新設された「ネット新語賞」に選ばれたのは、ゲーム『ホグワーツ・レガシー』から突如生まれたネットミーム「薩摩ホグワーツ」だ。
もともとは松永マグロが『ホグワーツ・レガシー』のプレイスタイルをかつての薩摩藩士のイメージに重ねて生み出した造語で、SNS上ではこの「薩摩ホグワーツ」という架空の概念で様々な妄想ストーリーが展開。パワーワードに溢れた投稿の数々が瞬く間に拡散された、ネットカルチャーならではのカオスな一大ムーブメントである。
<以下、受賞コメント全文掲載>
大賞:『【推しの子】』/赤坂アカ
この度はネット流行語大賞を【推しの子】という作品に、そしてキャラクターたちに与えて頂いてありがとうございます。私は今まで、『かぐや様は告らせたい』など個人名義で作品を作らせていただいていたのですが、今回は横槍メンゴ先生と密に打ち合わせを重ね、赤坂アカ×横槍メンゴの名義で『【推しの子】』という作品を書かせていただきました。メンゴ先生は、男性女性を問わず多くの人を魅了する作画が出来て、多様性を理解し、慮れるバランス感覚を持つ作家です。まずはメンゴ先生に感謝を申し上げます。そして素晴らしいアニメ化を経て、本当にとても多くの人に届き、こうして流行語なんて言っていただけるようになりました。小さな子供達に人気だなんて、連載を始めた時は想像も出来ないことでした。僕たちの作ってきた作品が、こうして人々の印象と記憶に残り、時代の1ページになれたのなら、これ以上光栄なことはありません。本当にありがとうございます。
大賞:『【推しの子】』/横槍メンゴ
このような明確な賞をいただけると、どうやら本当に「流行って」いるらしい!と、少し地に足ついたような感覚になれるのでありがたいです。大変光栄です。兼ねてより自分はメジャーなコンテンツやキャラクタービジネスになり得るような作品を生み出せるタイプのクリエイターではない、とかなりはっきりと自認しており「ニッチでも必要としてくれた人の心に深く刺さるようなものを生み出せれば」という心持ちで活動を続けていくつもりでした。そこに超弩級メジャーエンタメコンテンツを生み出す才能を持ったアカ先生が手を差し伸べて、この舞台まで引き上げてくれました。そこを目指す、と決めたからには何重にも覚悟を決めたつもりでいましたが真っ直ぐこの場所だけを目指してきたわけではないためなんだか不思議な感じなんです。実感がない。少しでも実感に近づける貴重な機会をありがとうございます。舞台の上は思いもしなかったくらい、素晴らしい景色でした。
ニコニコ賞・第2位:『君は完璧で究極のゲッター』/ガーベラ・ツヴィーベル
この度は「ネット流行語100」におきまして「君は完璧で究極のゲッター」を選考いただき、誠にありがとうございます。まさかの第2位ということで、「今はもう令和やぞ!」といった気分です。今回受賞することができたのは、他でもない応援してくださった皆様方のおかげだと、とても感じております。また、これを機にゲッターロボを知り視聴してくださる方も多くいらっしゃり、心から嬉しく思います。重ねてになりますが、たくさんの応援をして頂き、本当にありがとうございました!
第3位:『王様戦隊キングオージャー』/テレビ朝日&東映プロデューサーチーム
毎週日曜午前9時30分放送中の『王様戦隊キングオージャー』が「ネット流行語100 2023」年間ランキング第3位ということで大変光栄に思います。毎週日曜午前9時30分放送の状況下で少しでも目立つために、シツコく“王様”というワードを重ねたタイトルをつけました。それが皆さんの心を射止め、ネットでたくさんつぶやいていただける結果に現れたと思います。これもひとえに毎週日曜午前9時30分放送中のスーパー戦隊シリーズを支えてくださっているファンの皆様のお陰です。王様らしく、今度は1位が取れるくらい精進したいと思います。今後とも毎週日曜午前9時30分、よろしくお願いいたします。ネット流行語王に俺はなる!
ネット新語賞・第6位:『薩摩ホグワーツ』/松永マグロ
どうも、松永マグロです。この度は薩摩ホグワーツがネット流行語大賞にノミネートされました。正直に言って最初はここまで話が拡大するとは想像しておらず、私としましても、え?仲間内で話してた薩摩胡乱ネタが何故…?と困惑を隠しきれませんでした。しかし今では一つのネットミームとして定着し、数多の人々の腹筋を崩壊させた概念になってしまいました。当時、X(旧Twitter)で凄まじい盛り上がりを見せていましたが、まさか…6位にランクイン、そして「ネット新語賞」までいただけるとは思ってもみませんでした。これからも胡乱薩摩ミームとして人々の心に猿叫を響かせることでしょう。本日は真にありがとうございました。
【ほかの画像を見る】「ネット流行語100 2023」(C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
家具大手「ニトリ」の商品が「創業祭感謝価格1518円→1690円」に"値上げ"されているとして、X(旧ツイッター)に投稿された画像が話題となっている。
ニトリホールディングスは弁護士ドットコムニュースの取材に、シンプルな誤掲載だとしてお詫びした。
●「誤記?」「逆感謝」「ただの間違え」話題になったのは、あるXのアカウントが12月11日、「ニトリ。これって、何をアピールしてるの? 創業祭で値段上げましたってこと? 誤記? 頭が追いつかない。。」として画像と一緒に投稿したポストだ。
画像には、「シンク下伸縮ラック」という商品が「創業祭感謝価格 2024/1/8(月)まで」に「1518円→1690円」へプライスアップされていることがわかる。
「1690円」は大きく赤字で書かれており、通常であればプライスダウンされることが想定されるため、投稿者も「頭が追いつかない」と感想を述べているようだ。
この投稿を受けて「逆感謝」「物価上昇を考えるとこの上げ幅で抑えてますよ~ってことなのかもしれませんがもう少し説明しないとわからない」「単純に値下げ前と後の値段が逆になっちゃったのかな」と困惑の反応が寄せられた。
一方で「ただの間違えでしょ」という指摘もある。
たしかに画像をよく見ると、「1518円」の脇には極小の文字で「2019/10/8〜2019/12/22」と書かれてあり、誤記の可能性も高い。
「二重価格として2019年の価格を提示しているのはおかしいけれど、強調している価格が高い場合は景表法的にどうなるんだろうか?」という疑問も寄せられている。
●ニトリ「誤って掲載してしまったもの」結局のところ、これは誤記なのだろうか。弁護士ドットコムニュースの取材に対して、ニトリホールディングス(東京都北区)が回答した。
——投稿の画像はニトリ店舗で撮影されたものですか
ニトリ:弊社で撮影をしておりませんので確証はございませんが、写真にうつっております商品やプライス等は、弊社のものでございます。
——金額が1518円から1690円に増えているのは正しいのでしょうか
ニトリ:こちらは、弊社の店舗担当者が誤って掲載してしまったものです。正しくは1790円から1690円と表記すべきところ、誤って1518円から1690円と印刷してしまいました。ご迷惑をおかけいたしまして、大変申し訳ございません。
つまり、1790円→1690円の100円プライスダウンが感謝価格として正しいということだった。
科学技術が発達していく中で、かつての常識が「非常識」に変貌を遂げるケースは決して珍しくない。しかし誰しも、心のどこかで「先人の知恵」に対する敬意を払っていることだろう。
なお現在X(旧:ツイッター)上では、驚異的アップデートを遂げた「おばあちゃんの知恵袋」が、令和のネットユーザーに多大なる衝撃を与えているのだ。
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今回注目したいのは、Xユーザーのタクト(VRchat)さんが投稿した1件のポスト。投稿には「見ただけで味が口内に広がっていく」レベルでお馴染みの、袋に入った『ぽたぽた焼』の写真が添えられている。
こちらの袋には、これまたお馴染みの「おばあちゃん」と「ぽたぽたおばあちゃんのちえ袋」が確認できるのだが…なぜかポスト本文には「おばあちゃん!?」と、驚いた反応が。
なんと、おばあちゃんは「ねぇ、知ってる? 世で噂になっているNFTはNon-Fungible Token(ノンファンジブルトークン)の略で、非代替性トークンという意味だよ」と、横文字を多用した知恵袋を披露していたのだ。
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「おばあちゃんの知恵袋」と聞くと「迷信」じみた内容や、「民間療法」のような情報を連想する人は少なくないはず。いずれも「科学的根拠に乏しい」という共通点があるが、そうした要素を物ともしない「温かさ」や「人情味」こそ、おばあちゃんの知恵袋の魅力である。
そういった先入観もあってか、デジタルネイティブ世代にも引けを取らないおばあちゃんの「NFT」に関する理解度の高さは、見た者に大きな衝撃を与えているのだ。前出のポストは、投稿からわずか数日で1万件以上ものリポストを記録するほど話題に。
他のXユーザーからは「これもう、コンピューターおばあちゃんだろ」「ぽたぽたおばあちゃんも、しっかり知識をアップデートしているんだ。見習わなきゃな…」「古い伝統的なことだけでなく、最先端の知識も網羅してるのか」「おばあちゃん、博識すぎる」など、驚きの声が多数寄せられていた。中には「おばあちゃんのデザインが変わってる!」という指摘も。
果たしておばあちゃんに何が起こっているのか。『ぽたぽた焼』を製造・販売する「亀田製菓株式会社」に取材を敢行したところ、驚きの舞台裏が明らかになったのだ。
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1986年(昭和61年)より発売された『ぽたぽた焼』は、今年で誕生から38年目を迎えるロングセラー商品。
その特徴と魅力について、亀田製菓の担当者は「甘じょっぱい味付けと、さくさくとしたソフトな食感が特徴で、お子さまから大人まで幅広い世代に愛されてきました」「名前の由来は、ぽたぽたと醤油を塗る様子からとっており、おばあちゃんが作ったおせんべいというコンセプトです」と説明する。
現行のおばあちゃんや「ちえ袋」を含むパッケージデザインは今年8月上旬よりリニューアルされたもので、担当者曰く「『ぽたぽた焼』は、時代の変化とともに少しずつリニューアルを重ねてきました。リニューアル回数はパッケージ変更・味の変更を合わせると10回を超えています」とのこと。
しかし、おばあちゃんのリニューアルは今回が初。そしてミソなのは、決して「2代目おばあちゃん」ではなく「同じおばあちゃんが新しくなった」という点で、誕生から40年近い年月が経っても、おばあちゃんはまだまだ元気いっぱいの現役なのだ。
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大きなリニューアルに踏み切った背景をめぐり、亀田製菓の担当者は「これまで、親子を繋ぐコミュニケーション菓子としてご愛顧頂いてきましたが、リニューアル前のぽたぽた焼のメインのお客様は、60代以上の方々でした。つまり、発売当時30代だった方々になります」と、振り返る。
続けて「現代の30〜40代の親子世代にももっと知って頂きたい、親しみをもってぽたぽた焼を楽しんで頂きたいと思い、今回のリニューアルに至りました」「親子で楽しんで頂きたいという思いがある中で、ぽたぽた焼同様に親子の成長のそばで親しまれている『絵本の読み聞かせ』に着想を得て、リニューアルを行ないました」と、ことの経緯を説明してくれたのだ。
その結果、見事なアップデートを遂げたおばあちゃんが、ユーザーから称賛の声で迎えられたのは前出の通り。
Xユーザーをはじめとする大きな反響に対し、亀田製菓の担当者は「今回のリニューアルではSNSを中心に、想像以上にたくさんのお客様からの声を頂き、改めて『ぽたぽた焼』『ぽたぽたおばあちゃん』が多くの方に愛されていると実感しました」と、笑顔のコメントを寄せている。
また「これからも、1人でも多くの方にぽたぽた焼を知ってもらい、コミュニケーションのきっかけとしてもらいたいです」「そして新しいおばあちゃんも、これまでのおばあちゃん同様に、たくさんの方々に愛されるキャラクターに育てていきたいです」と、今後の展望を語ってくれたのだ。
「先人に学ぶ」ことは非常に大切だが、最新の知識や情報に対するアンテナを張り続ける意欲も、同様にまた重要である。だが歳を重ねるごとに、そういった意欲が失われる傾向にあるのも事実。
新しい出来事へのチャレンジに尻込みしている人は、ぜひ生まれ変わった『ぽたぽた焼』を手にしてほしい。令和の時代に適応したおばあちゃんの姿からは、きっと勇気をもらえるはずだ。
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秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
「チクショー!」と叫ぶと痛みに強くなるようです。
椅子の脚に小指をぶつけた時など、思わず「チクショー!」のように汚い言葉を大声で叫んだことはありませんか。
英国キール大学のリチャード・ステファン氏(Richard Stephans)らの研究では、汚い言葉を大声で出した方が、痛みが軽減されることを報告しています。
この現象が生じる理由は、大声で罵ることで、闘争・逃走反応が起き、覚醒状態になることで、痛みの抑制が働いたのではないかと考えられてます。
また近年では、孤独や恥のような社会的ストレスを感じた際に大声で罵った場合にも、心理的苦痛が軽減することが分かっています。
研究の詳細は、学術誌「Neuroreport」にて2009年に8月5日に掲載されました。
目次
椅子の脚に小指をぶつけた時など、思わず「チクショー!」のように汚い言葉を大声で叫んだことはありませんか。
「馬鹿野郎!」や「くそ!」などの汚い言葉は、一般的には口にしない方が良いとされていますが、実はそのように罵倒することで痛みがましになることが分かっています。
英国キール大学のリチャード・ステファン氏(Richard Stephans)らの研究では、こうした大声の罵倒と苦痛の関連を検討しています。
この研究に参加したのは、大学生67名です。
実験では参加者に、5℃の冷水に非利き手を最大で3分間、我慢できるまでつけてもらいました。
この冷水に手をつける方法は、危険が伴うことなく、参加者に適度な痛みを与えることが可能で、痛みに関する実験でよく用いられます。
この時に、参加者は以下の2つのグループに分けられました。
罵倒グループ:手を冷水につける間、罵りの言葉(チクショーなど)を一定のリズム、大きさで繰り返し発声する
大声グループ:手を冷水につける間、椅子に関連する言葉(四角いや固い)を一定のリズム、大きさで繰り返し発声する
その後、水に片手をつけたことで感じた主観的な痛みを回答してもらいました。
さて、汚い言葉を大声で叫ぶことで感じる痛み、我慢できる時間は変わったりするのでしょうか。
実験の結果、「馬鹿野郎!」などの罵る言葉を大声で言った人は、ただ大声を出した人と比べて、脈拍が早くなっており、主観的な痛みが小さく、長い時間我慢できることが分かりました。
この結果は、大声で罵倒することが身体的苦痛に対する耐性を高めることを示しています。
確かにこうした事実はすでに実感を持っている人も多いでしょう。
しかしここからはあまり聞いたことのない話になるかもしれません。
興味深いことに罵倒することで得られる効果は身体的な痛みへの耐性だけではないことがわかっているのです。
なんと罵倒は孤独や不安などの心理的な苦痛に対しても耐性を強くするというのです。
2017年に「Journal of Social Psychology」に投稿された、ニュージーランド・マッセー大学のマイケル・フィリップ氏(Michael Phillip)ら研究チームは、罵声が孤独や恥のような社会的苦痛に対しても効果があるのかを検討しました。
この研究には大学生62名が参加しています。
実験では参加者を2つのグループに分け、過去に仲間外れにされた経験、他人と協力した経験をそれぞれ書き出してもらいました。
仲間外れにされた出来事の例としては、「他者から拒絶された」や「孤独感を感じた」などがあり、その経験を書き出すことで社会的なストレスを誘発することができます。
そしてさらにそれぞれのグループを、2分間「クソ野郎!」などと口汚く罵る人と、何もしない人に分け、罵倒が社会的苦痛にどう作用するかを比較しました。
すると実験の結果、身体的苦痛と同様に、罵倒することで孤独や恥のような社会的な痛みが低く評価される傾向が確認されたのです。
研究チームは「身体的苦痛と心理的苦痛は前帯状皮質という神経回路を共有しており、生物学的に同じシステムを用いていることが報告している。そのため心理的な痛みであっても脳内では身体的な痛みと同様に感じているかもしれない」と述べています。
この心理的な痛みを身体的な痛みとして経験しているという考えは「痛みの共通性理論(pain overlap theory )」と呼ばれています。
それゆえ、罵倒によって身体的苦痛が緩和されたように、心理的苦痛でも罵倒で痛みが緩和される効果が生じたと考えられます
罵倒がどのようにして痛みを軽減させるのかについての明確なメカニズムはまだ分かっていません。
しかし最も有力な仮説は、罵倒などの攻撃的な言葉を叫ぶことが、闘争・逃走反応を生むというものです。
闘争逃走反応は、恐怖や危険が伴う状況で、生存のために戦うか、逃げるかの行動準備をする際に起きる生理的反応です。
そしてこの反応が起きると、交感神経系が活性化し、アドレナリンとコルチゾールが分泌されます。
これにより、痛みに対する感受性が低下し、長い時間我慢することができるというわけです。
これらの結果を考慮すると、タンスの角に足の小指をぶつけたときの「クソッ!」や昔にしてしまった恥ずかしい出来事を思い出すときに「あークソ―」と言うことは、実際のところ理に適った行動だと言えます。
例え普段は上品な人でも、痛みに対して思わず汚い言葉が出てしまうのは、知らないうちに罵倒と痛みの関係性を理解して、無意識のうちに実践しているからなのかもしれません。
WTF! Swearing Can Enhance Your Pain Tolerance!
https://www.psychologytoday.com/us/blog/home-base/201804/wtf-swearing-can-enhance-your-pain-tolerance
元論文
Swearing as a response to pain
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19590391/
Hurt feelings and four letter words: Swearing alleviates the pain of social distress
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ejsp.2264
Repeating the “F” word can improve threshold for pain during an ice water challenge
https://www.psypost.org/2020/05/repeating-the-f-word-can-improve-threshold-for-pain-during-an-ice-water-challenge-56828
AK: 大阪府生まれ。大学院では実験心理学を専攻し、錯視の研究をしています。海外の心理学・脳科学の論文を読むのが好きで、本サイトでは心理学の記事を投稿していきます。趣味はプログラムを書くことで,最近は身の回りの作業を自動化してます。
海沼 賢: 以前はKAIN名義で記事投稿をしていましたが、現在はナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。
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